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“生まれは葛飾・柴又、帝釈天で産湯を使い・・”映画「寅さん」の名セリフで全国的にも知られる東京都葛飾区、「寅さん」のイメージとはちょっと趣の違う、世界的にも最新鋭といわれるプラネタリウムが「葛飾区郷土と天文の博物館」にお目見えし話題になっています。春休みということもあって、1日10回以上の上演にもかかわらず連日長蛇の列で賑わっていて、私も訪ねたのですが、あまりの混雑振りにプラネタリウムを見ずに帰って来てしまいました。
葛飾区の広報によると、1991年の開館時からの機器が老朽化したため新設されたシステムで、製作費は約2億2千万円。 最新鋭と云われるプラネタリウムの名前は「ジェミニスターV Katsushika」、CG(コンピューターグラフィックス)で宇宙を表現するデジタルプラネタリウムとレンズを使って星を投映する光学式プラネタリウムを融合したハイブリッド方式、2つのシステムを「ふたご座―ジェミニ」として表現したネーミングになっています。
プラネタリウムの歴史を調べて見ますと、1923年、著名なドイツの光学機器メーカー、カール・ツァイスによって製作され、ハイデルベルグ天文台に設置されたものが近代プラネタリウムの最初とされています。このツァイス型投影機はおよそ6等星までの4,500個の星を投影できました。国産で初めて開発されたプラネタリウムは1958年、当時の千代田光学精工−現在のコニカミノルタ社で製作され、阪神パークで開催された科学博に出展、そのまま常設されました。翌1959年には五藤光学研究所製が浅草の新世界などに設置され話題となりました。当時の価格で800万円だったとされています。現在、大型のプラネタリウムメーカーは世界でも5−6社しかなく、この2社は世界的にも著名な2大メーカーとなっています。 星の投影数で現在世界最大なのは、世界的なプラネタリウム・クリエーター大平貴之氏が製作した「メガスターシリーズ」と呼ばれるもので、およそ12.5等星までの500万個が投影でき、天の川まで恒星の一つ一つとして投影できる能力をもっています。
日本プラネタリウム協会の資料によると、日本人の星に寄せる想いが強いのか、ある程度以上のドーム直径をもつプラネタリウムは現在日本に約300基あり、これはアメリカに次いで世界2位、ドーム直径の大きさでは1位から5位までを日本が占めています。世界最大のドーム直径は30mで愛媛県総合科学博物館に設置されているプラネタリウムだそうです。
葛飾の最新鋭プラネタリウムの呼び物は、東京でも初の導入と云われるデジタル・光学の両方式を融合したハイブリッド方式の採用に加え、日本では初めての機能「デジタル・ユニバース」を取り入れたことにあります。「デジタル・ユニバース」は、ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館がNASAの協力を得て制作した全宇宙の三次元地図で、太陽系の天体だけでなく、137億光年彼方までをカバーするさまざまな研究機関からの正確な天体データが組み込まれています。いわば人類がこれまで観測した全宇宙の天体データを内蔵、これを映像化できるという想像もできない全宇宙地図と言えます。
今までは、地球上のある地点からの星座を時間の推移で見る・・というのがほとんどでしたが、「ジェミニスターV」は6台のプロジェクターを駆使してドーム全体にCGを映し出し、宇宙飛行士しか見られないような青く丸い地球や、土星の輪をくぐったり、銀河系を飛び出して星の世界から銀河系を見ることができるなど、画期的なシステムになっています。
博物館では、すでに3月末で締め切られていますが、「あなたの見たい星空、宇宙の場所 大募集」という企画を進めています。“月からの地球を見たい”“火星から見た銀河系が見たい”“天の川を宇宙の彼方から見たい”“私が100歳の時の星空を見たい”などのアイデアを募集し、新しいプラネタリウムで希望を適えて行こうという企画です。寄せられた夢や希望は博物館ロビーに展示され、実演されます。 また、4月21日には「星と平家物語の世界」という演奏会が予定されており、薩摩流琵琶奏者 平田卓氏の琵琶演奏とともに源頼朝の挙兵や壇ノ浦の合戦など平家物語・栄枯盛衰その時々の夜空をプラネタリウムに再現するという興味深い企画です。
この博物館は「かつしかのあゆみ」「かつしかのくらし」「水とかつしか」などのコーナーもある、ごく普通の地域資料館・博物館なのですが、世界最先端のプラネタリウム設備を導入することで話題を呼び、集客力を高め、子供達の宇宙への夢を育むという大きな効果も期待されます。その大胆な企画力に敬意を表したいと思います。
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